2024年9月9日、株式会社ムロオシステムズ(本社:東京都、代表取締役社長:潘 忠信)は、ドイツの原子力エンジニアリング企業であるNUKEM Technologies Engineering Services GmbHの主要資産を正式に取得し、買収手続きを完了いたしました。
NUKEMは1960年にドイツにおいて設立され、放射性廃棄物管理、使用済み核燃料の管理、原子力施設の廃止措置技術において、世界的に高い評価を得ている企業です。同社は、ドイツで最初の商業用原子力発電所の廃炉を成功させ、現在も5基の廃炉プロジェクトを進行中です。
今回の買収により、ムロオシステムズはNUKEMの高度な技術を活用し、次世代エネルギー分野におけるさらなる技術革新を目指します。特に、放射性廃棄物管理および原子力施設の廃止措置技術の高度化を図り、TRISO技術を活用した次世代クリーンエネルギーの開発にも注力してまいります。
また、福島県浜通り地区に新たなR&Dセンターを設立し、日本の原子力技術の海外展開を視野に入れた研究開発を推進してまいります。
当社執行役員の二宮暢昭は、「NUKEM社のカールシュタイン・アム・マイン本社は、ドイツ初の原子力発電所の跡地に所在しています。
その廃炉のプロセスと現状復旧もNUKEMが実施したものです。先進的な技術と当社のIT技術を組み合わせることで、新たなシナジーを創出し、次世代エネルギー開発において競争力を高めてまいります。今後は、欧州での事業基盤を強化し、アジア市場への展開も積極的に進めていく予定です」と述べています。さらに、NUKEMのトーマス・セイポルト社長も、「新しいオーナーのもと、既存事業の継続に加え、核融合技術などの新分野への進出を目指していく」とコメントしています。
NUKEMは、2022年以降、ウクライナ情勢に起因する地政学的な問題により、欧州をはじめとする地域で新規事業の進行が停止しました。さらに、親会社であるロシア国営原子力企業ROSATOMからの資金提供も停止され、その結果、2024年4月にNUKEMはドイツ裁判所に破産申請を行いました。これにより、NUKEMはROSATOMの経営支配を離れ、破産管財人の管理下に置かれることとなりました。
ムロオシステムズは、破産管財人との交渉を実施の上、慎重な審査と協議を経て、2024年5月29日に買収契約を締結し、その後、必要な承認手続きを経て9月9日にドイツ政府の認可も取得して、全ての手続きを完了いたしました。
ムロオシステムズは、日本政府が推進する「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」に基づき、原子力発電の安全な利用および次世代エネルギー技術の開発を進め、再生可能エネルギーの拡大にも注力してまいります。